Milongeros(サニーさん)
Tokyo Milongaに集う人たちにスポットを当てる「Milongeros」の第4弾は、7月29日にDJを務めてもらうサニーさん(♂)です。
ミロンガで最近、気になるのはフロア・マナーのこと。「踊っている人同士がぶつかる。曲が流れている時に堂々とフロアを横切る人までいる」。ミロンガという大人の社交場では、自分だけでなく、そこにいる誰もが楽しめるような配慮が必要だ。「例えば、ミロンガでマナーの良い人を表彰するような仕組みがあってもいいのでは」と提案する。
タンゴを始めたのは2006年9月。「何かダンスを」と思い、「大人の踊りというイメージがあった」タンゴが思い浮かんだ。ネットで調べたところ、初心者に優しそうな雰囲気の教室が見つかった。偶然にも勤め先のすぐ近くで「運命を感じて」週1回程度のペースで習い始める。初レッスンの翌日には、教室が主催するミロンガにも参加した。しかし、「最初の3カ月は本当に辛かった」と噛みしめる。自分のステップだけでもなかなか思うようにいかず、相手をリードするところまで気が回らない。ただ、「途中でやめるのは悔しい」という思いをバネに、「教室の仲間たちと踊りながら飲みながら悩みを共有し、ずいぶんと励みになった」ことで続けることができた。
始めてから3カ月経った頃、教室の仲間から「ときにはプライベートレッスンも受けた方がいい」とアドバイスを受けた。「自分にはまだ早い」と思いながらも、仲間の言葉に素直に従ってみた。実際に受けてみて「これまでは自分の動きだけで頭が一杯で、踊る相手のことまで意識がいっていなかった」と痛感した。その後もレッスンに通いながら、徐々にミロンガに行く回数も増える。2007年には年末にかけて、レッスンやミロンガを連続で70日間以上続けた。「多い時には1日に3つのミロンガをハシゴした。ひとつの大きな自信になった」と振り返る。
2008年からは別の教室にも通い始め、サロン・スタイルをさらに深める道を進む。デモを見てその優雅さに心を奪われた。カミナンド(歩き)を重視するスタイルが少し身についてくると「踊る上で気分的にもすごく楽になった」。この年には夏休みを利用し、ブエノスアイレスを1週間訪れた。昼間は街を散策し、夜は毎晩、本場のタンゴに触れた。日本のミロンガでは男性の誘いを断る女性は少ないが、現地では踊りたくない相手とは目を合わせない。その分、「お互いに踊りたい気持ちが重なった時の楽しさ」は格別だった。「日本のタンゴとはまったく違う」経験を積むことで、タンゴに対するイメージは限りなく深く広がった。
【写真】特にお気に入りのタンゴCDとブエノスアイレスで使ったバスガイド(右下)。
現在は、週1、2回程度ミロンガに出掛ける。好きなミロンガの条件は「良い音楽が流れ、踊りたい人がいればそれで十分」。たまには豪華なミロンガもいいが、「普段はシンプルなミロンガ」に軸足を置く。相手を誘う時は、二人で一緒に踊りを作って楽しもうとする姿勢を重視する。「技術ではなく、一生懸命に向き合おうとしてくれる人と踊りたい」
いまは「技術的なことを考えなくても、自然と自由に身体が動く」境地を目指している。この追求に終わりはない。「満足した時点で成長が止まる」。しかし一方では、「いつも自分の不足にばかり目を向けていて本当にいいのか。それよりも、いまこの時の状態で、いまこの瞬間に、目の前の相手に集中することこそが大切ではないのか」。自問自答の日々を送っている。

