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2009年12月の9件の記事

2009/12/29

コルティナ普及に向けて

 Tokyo Milongaでは、4曲ごとに「コルティナ(cortina)」というタンゴ以外の音楽を30秒ほど流します。コルティナとは、英語で「カーテン」の意味で、このタイミングで踊りのパートナーを変えます。踊っていたカップルはお互いにお礼を言った後、男性がエスコートし、いったん自席に帰ります。その上で、新たに踊る相手を探します。


 コルティナは非常によくできたシステムです。まず、皆が同じタイミングでパートナーを変えるため、お互いに踊りたいと思っている男女は、タイミングが合わずに踊り損ねる心配がありません。踊りを何曲で終えるべきか迷うこともなく、しつこく踊り続けることを求める相手にも、波風を立てずに終われます。また、初めての相手で様子をみてみたかったり、踊りたくないが、踊らざるをえない相手とはコルティナが入った後、2、3曲してから踊り始めれば、踊る曲数が少なくて済みます。


 アルゼンチンを含む海外ではコルティナはごく一般的ですが、日本ではまだまだ定着しておりません。日本でもコルティナを入れるミロンガ自体は増えてきていますが、実際に自席に戻る人たちの数はそれほど多くありません。文化の異なる国に、アルゼンチンの仕組みを無条件で適用すべきではありませんが、コルティナはとても優れた仕組みであり、特に女性にとってメリットが大きいシステムであることから、当ミロンガでは全面的に採用することを決めました。


 以上の趣旨をご理解いただき、コルティナがかかれば、自席に戻っていただくよう参加者の皆さまにはお願いいたします。「もっと一緒に踊っていたい」や「相手も楽しんでいるはずだから一律に変わる必要はない」などと考えられる方もおられるでしょうが、そのまま踊り続ければ、システム自体が形骸化し、コルティナはその意味を失います。女性の方から、コルティナの時にお礼を言った上で自席に戻ることは決して失礼なことではありません。また、カップルで来られた方は、パートナーを必ず変える必要はありませんが、同様にいったん自席に戻っていただくよう、ご協力お願いいたします。ぜひTokyo Milongaからコルティナを定着させていきましょう。ご理解、ご協力を重ねてお願いいたします。


※Tokyo Milongaでは、4曲1セットの変則的なタンダ(tanda)を当面は採用する予定です。

2009/12/25

年末年始ミロンガ一覧(首都圏版)

年末年始は、ミロンガやプラクティカ(練習会)が目白押しで、一体どこに出かけるべきか迷う人も多い。特に26日、27日は、首都圏だけで各日10カ所ほどのミロンガやプラクティカが開催される集中日となる。また、大晦日の31日は、カウントダウン・ミロンガが4カ所ほどで開かれる予定だ。首都圏で12月26日から1月3日までに開かれる主なミロンガ・プラクティカを一覧にまとめてみた。『年末年始ミロンガ一覧(首都圏版)』を手がかりに、踊り納め、踊り始めのミロンガ・プラクティカを選んでみてはいかが? ※詳細は変更になる可能性があります。主催者にご確認の上、お出かけ下さい。


12月26日(土)

タンゴすいよう会
【時間】13:15-16:30 【場所】落合第1地域センター4階ホール(東京都新宿区) 【料金】1000円

Casual Milonga
【時間】14:00-16:30(13:30-14:00無料レッスン) 【場所】赤坂区民センター4階多目的室(東京都港区) 【料金】1000円(ドリンク&お菓子付)

忘年会ドヨービミロンガ in 3355
【時間】14:00-17:00 【場所】ラテンビアバー3355(横浜市) 【料金】2500円(フリードリンク&スナック付)

タンゲーラ
【時間】14:30-17:30 【場所】茗荷谷ダンスプラザ(東京都文京区) 【料金】1500円

LABIOS DE TANGO
【時間】18:30-21:30 【場所】中目黒GTプラザホール(東京都目黒区) 【料金】前売り2000円、当日2500円(フリードリンク&スナック付)

忘年会ミロンガパーティー
【時間】19:00-23:30 【場所】Sin Rumbo(東京都新宿区) 【料金】2000円(ドリンク別)

ありがとう2009!! 年忘れミロンガ(JoeTango Presents)
【時間】19:00-23:30 【場所】STUDIO-J(東京都渋谷区) 【料金】2500円(フリードリンク&食事付)

・カナロ会
【時間】19:00-22:00 【場所】スタジオ「ハクーロ」(東京都世田谷区) 【料金】1000円 【問い合わせ】桑野さん 090-3810-0501

リカルド☆バースディースペシャルミロンガ
【時間】20:00-23:30 【場所】Tango Rex(東京都渋谷区) 【料金】メンバー2000円、 ビジター2500円(1ドリンク付)

X-mas Milonga
【時間】20:30- 【場所】STUDIO ZERO HOUR(東京都港区) 【料金】2500円(1ドリンク付)

12月27日(日)

800円プラクティカ(代官山)
【時間】13:00-15:00 【場所】代官山スポーツプラザ(東京都渋谷区) 【料金】800円(ドリンク付)

・昼のミロンガ 与野駅前
【時間】13:30-16:30(13:00-13:30無料レッスン) 【場所】下落合コミュニティセンター(さいたま市) 【料金】2000円(軽飲食付) 【問い合わせ】トーマさん 080-5647-0299 

入間でタンゴ(入間アルゼンチンタンゴどうこうかい)
【時間】14:00-16:30 【場所】入間図書館西武分館2階C会議室(埼玉県入間市) 【料金】無料

Good-By2009 Utiage-Party
【時間】15:00-19:00 【場所】Tango Tokyo Academy(東京都豊島区) 【料金】3000円(フリードリンク&フリーフード)

ルエダ・デ・タンゴ(練習会)
【時間】17:45-21:00 【場所】新・中原市民館視聴覚室(川崎市) 【料金】500円

TANGO ELIZA
【時間】18:00-21:00 【場所】野沢区民集会所第1会議室(東京都世田谷区) 【料金】500円

・タンゴパーティー青山
【時間】18:00-22:00 【場所】青山ウームBAR(東京都港区) 【料金】前売り3500円、当日4000円(1ドリンク付) 【問い合わせ】トロピカーナ松井さん 03-5414-2792

・新月例地元ミロンガ@Yokohama
【時間】18:00-21:00 【場所】白石ダンススクール(横浜市) 【料金】2000円 【問い合わせ】udaplanning@yahoo.co.jp

Milonga☆Feliz Año☆
【時間】19:00-22:00 【場所】吉祥寺カリブ(東京都武蔵野市) 【料金】2500円(1ドリンク付)

Milonga party
【時間】20:30-24:00 【場所】STUDIO ZERO HOUR(東京都港区) 【料金】2000円(1ドリンク付)

12月28日(月)

TANGO SUIYOKAI
【時間】18:15-20:30 【場所】四谷地域センター12階(東京都新宿区) 【料金】2000円(スエニョス楽団出演)

CubanCafe Candle Milonga
【時間】20:00-23:00(19:00-20:00無料レッスン) 【場所】築地 CUABAN CAFE(東京都中央区) 【料金】3000円(1ドリンク付)

クリスマス&忘年会ミロンガ
【時間】20:00-23:30 【場所】COHIBA西麻布(東京都港区) 【料金】2500円(1ドリンク付)

12月29日(火)


12月30日(水)

アルマ忘年ミロンガ
【時間】20:00-22:20 【場所】茗荷谷ダンスプラザ(東京都文京区) 【料金】1000円

年忘れミロンガin TokyoTango City
【時間】20:00-23:00 【場所】東京タンゴシティ(東京都渋谷区) 【料金】2500円(1ドリンク付)

12月31日(木)

2009年さよならミロンガ
【時間】18:00-23:00 【場所】六本木トロピカーナ(東京都港区) 【料金】3000円(1ドリンク&年越しそば付)

Count Down Milonga
【時間】20:30- (19:00-20:30無料レッスン) 【場所】STUDIO ZERO HOUR(東京都港区) 【料金】3000円(1ドリンク付)

COUNT DOWN MILONGA
【時間】21:00-3:00 【場所】Tango club MANATEE(神奈川県横須賀市) 【料金】2000円

カウントダウンパーティー(Tango Rex&Tango Lounge&Afrodita合同企画)
【時間】21:00- 【場所】Tango Rex(東京都渋谷区) 【料金】3000円(24時以降の来場は2000円、いずれも1ドリンク付)

1月1日(金)

Happy New Year milonga
【時間】20:30-24:00 【場所】STUDIO ZERO HOUR(東京都港区) 【料金】1000円

1月2日(土)

Che!Tango新春ミロンガ
【時間】13:00-16:00 【場所】茗荷谷ダンスプラザ(東京都文京区) 【料金】2500円(フリードリンク&フリーフード)

Milonga party
【時間】20:30- 【場所】STUDIO ZERO HOUR(東京都港区) 【料金】2500円(1ドリンク付)

1月3日(日)

EFECTO TANGO
【時間】16:00-21:00(15:00-16:00無料レッスン) 【場所】EFECTO TANGO(東京都渋谷区) 【料金】2000円(フリードリンク&スナック付)

美影&有彩 新春Party
【時間】15:00-19:00 【場所】Tango Tokyo Academy(東京都豊島区) 【料金】3000円(フリードリンク&フリーフード)

Milonga party
【時間】20:30-24:00 【場所】STUDIO ZERO HOUR(東京都港区) 【料金】2000円

2009/12/24

プレミロンガ開催のご報告

 2009年12月23日(水・祝)14時から16時30分まで、Tokyo Milongaのプレミロンガを九段下の施設(千代田区)で開きました。来年1月からの本格始動に向けて、照明や音響、備品などの最終確認が主目的だったことから、定員15人、完全予約制という限定したかたちでの開催となりました。参加費を無料にしたこともあり、「定員なんてすぐに埋まる」という主催者側の傲慢な読みは見事に外れ、定員集め(特に踊れる男性の確保)に四苦八苦しました。大切なタンゴ友達に勧誘までさせてしまい、とても申し訳なく思っております。


 特に登録団体代表のR嬢の働きも大きく、最終的には男性7人、女性10人の合計17人の方々に参加戴けました。年齢的にも、30代、40代、50代でバランス良く構成し、「思ったよりも若い人が多い」と驚かれる参加者もいました。来年1月の開催からは、60代以上の方も参加して戴けるようなので、さらに幅広い年齢層が交流できる場になるのでは、と楽しみにしています。

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 今回は、参加者のほとんどが、ミロンガ経験の豊富な面々で、選曲の一部(プグリエーセの『ミロンガ・パラ・ガルデル』)で「こんな曲じゃ踊れない!」という厳しいつっこみも戴きました。後になって、別の方から「皆がそう思っていた。あの瞬間に皆が一つになれた」という嬉しいような、悲しいような総括もありました。今回は、同じ楽団の曲を5曲セットにし、タンゴ、ワルツ、タンゴ、ミロンガ、タンゴの順で通しました。「ミロンガが1曲ずつなのがいい」という意見もありましたが、「ワルツやミロンガは2曲連続で踊りたい」という強い要望もありましたので、次回からはワルツとミロンガが連続でかかるように改めていきたいと考えています。

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 スタイル的には、シンプルに大人しく踊る方が多く、非常に落ち着いた雰囲気のミロンガになりました。これも参加して下さった皆さまの協力あってこそです。ぜひ今後もこの雰囲気を維持し、Tokyo Milongaの特徴の一つにしていければ、主催者冥利に尽きます。今後とも、都内随一の「草食系ミロンガ」を宜しくお願いします。

2009/12/15

Milongeros(芋子さん)

第2回目の「Milongeros」は、当団体の副代表を務め、母親も含めたタンゴ三姉妹の末っ子、千代田区在勤の芋子さん(♀)です。

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 「ミロンガで知り合った人と、音楽に合わせてゼロから一緒に踊りを作り上げていく。同じ音楽でも人によって感じ方や表現がまるで違う」。芋子さんにとって、相手の感性を受け止め、二人だけの踊りを創りあげることこそ、タンゴの醍醐味だ。もちろん、「すべてが上手くマッチした気持ちのいい瞬間」がいつも訪れる訳ではない。本当に納得できるのは、ミロンガに行く度に1回あるかどうか。「そんな時は帰り道も、とても気分がいい」と話す。

 タンゴを始めたのは、1999年。地元の公民館で2カ月間のタンゴ講習会があり、申し込んだのがきっかけだった。「タンゴに興味があった訳でなく、もの珍しさから」始めることに。10人ほどの仲間と、8回の講習を淡々と受けた。それほど楽しい訳ではなかったが、「ここで止めたら、タンゴの楽しさを知らないままに終わる。もう少し続けてみよう」と思い留まった。同じ講習を受けたメンバーが中心になり、その後も同好会として週1回のペースで練習は続く。会場こそ3度変わったが、10年経った今も、日曜が同好会の練習日なのは変わらない。

 2006年からは、同好会に加えて、都内のミロンガにも週1回ほどのペースで出掛けるようになった。最初に行った時、都内のミロンガの華やかさに目を奪われた。「自分の実力がよく分かった。同時に、タンゴを踊る人が大勢いて、色々な踊り方がある」ことを知り、刺激を受けた。当時は、ダンス全体に対する関心も高く、ガフィエラやサルサにも取り組んだ。だが、「最終的に限りある時間とお金で何を続けていくかを考えた時、タンゴしか思い浮かばなかった」という。

 芋子さんにとって「居心地の良さ」がミロンガを選ぶポイント。寛いだ気分でミロンガ独特の雰囲気を楽しめれば、たとえ踊っていなくても充実した時間を過ごせる。「日常では出会えない人たちと知り合える」こともタンゴの魅力。踊るだけでなく、「色々な人と会って話を交わす」時間も大切にしている。

 年1回の『タンゴダンス世界選手権アジア大会』は、楽しみにしている恒例行事。今年を含めて3度出場した。「パートナーがいれば、毎年でも出たい」。結果にこだわらず、その場に立つことを重んじるのが、彼女流。「観るだけでなく、とにかく輪の中に加わりたい。年に1度のお祭りだから」

 3歳上の姉とは、最初の講習会からずっと一緒にタンゴに取り組んできた。「最高の話相手。二人でいる時は、いつもタンゴの話ばかり」。容姿と同様、タンゴに対する姿勢は大きく異なる二人。「体育会系でレッスン好き」な姉に対して、「楽しさ最優先」の妹。しかし、「タンゴに対する愛情は同じ」。お互いそれが分かっているからこそ、タンゴ談義にも花が咲く。

2009/12/14

増える若手アマ主催のミロンガ・プラクティカ

若手のアマチュアが主催するミロンガやプラクティカ(練習会)が、都内近郊で増えている。これまでアマチュア主催のミロンガやプラクティカは、すいよう会、サロン・デ・タンゴ、T・Aプラクティカ、タンゲーラなど50代以上のベテラン世代の主催者が多かったが、最近増えているのは30代を中心としたタンゴ界における若手世代。公共施設などを使い、料金をリーズナブルに設定しているのが共通する。主要な若手アマチュア主催のミロンガ・プラクティカをまとめてみた。 ※日時などは変更になる可能性があります。


・Casual Milonga
【日時】12月20日(日)13:30-16:30=①、12月26日(土)13:30-16:30=②、2010年1月10日(日)18:00-20:45=③、1月17日(日)18:00-21:00=②、1月23日(土)13:30-16:15=③、1月31日(日)18:00-21:00=②
【場所】①高輪区民センター1階集会室、②赤坂区民センター4階多目的室、③麻布区民センター地下1階区民ホール(すべて東京都港区)
【料金】1000円(ドリンク&お菓子付)
【URL】http://tangovedado.blog99.fc2.com/

・TANGO ELIZA
【日時】12月20日(日)18:00-21:00、12月27日(日)18:00-21:00
【場所】野沢区民集会所第1会議室(東京都世田谷区)
【料金】500円
【URL】http://tangoeliza.blog99.fc2.com/

・茗荷谷プラクティカ
【日時】毎月第2日曜日(2010年1月17日、2月14日、3月14日)13:00-16:30
【場所】茗荷谷ダンスプラザ(東京都文京区)
【料金】700円(同伴ペア1000円)
【問い合わせ】小池さん 080-6574-4466、maricoさん 090-6522-2609

・ルエダ・デ・タンゴ
【日時】12月27日(日)17:45-21:00 練習会=①、2010年1月16日(土)09:00-12:00 朝のミロンガ=②、2月11日(木・祝)17:45-21:00 Waltz Milonga=①、3月1日(月)18:45-21:45 通常のミロンガ=③
【場所】①新・中原市民館視聴覚室(川崎市)、②めぐろパーシモンホール第1練習室(東京都目黒区)、③田園調布富士見会館多目的ホール(東京都大田区)
【料金】500円
【URL】http://rueda.fantango.jp/

・アルゼンチンタンゴダンス練習会 レ・ファ・シ
【日時】木曜日(12月17日、12月24日、2010年1月7日、1月14日、1月21日、1月28日)18:00-20:30
【場所】浅草橋区民館6階第1集会室(東京都台東区)
【料金】300円
【問い合わせ】refasi@willcom.com

2009/12/12

快楽主義とタンゴ・スタイル(下)

〈胸リードの真の意味〉

 次に、この目的を達成するために、ミロンゲーロ・スタイルは、どういう手段を採用したのかを見ていこう。最大の特徴は、「ペチョ・イ・ペチョ(胸と胸)」とも言われる男女の組み方だ。サンフランシスコを拠点に世界で活躍するタンゴ講師、ネイ・メロ(Ney Melo)は、自身が教えるウルキサ・スタイルと比較し、「ミロンゲーロ・スタイルは、男女の胸が常にパラレル(平行)に保たれる」と生徒たちに教える。
 他のスタイルでも、胸のリードは基本だ。しかし、ここでいう胸は、胸とそれに繋がる両手の「フレーム」を指す。このフレームを崩さないことが、正しいリードであり、胸と両手の連携を欠くリードは、”手リード”として矯正の対象になる。
 一方のミロンゲーロ・スタイルにおける「胸リード」は、まさに胸そのものを指し、胸”だけ”でリードしてしまう。そこにおける両手の役割は、あたかも乗り物のシートベルトのように、緊急時のみ機能し、平時は存在を消す。前述のテテは、デモンストレーションでしばしば、両手を横に大きく広げ、胸だけで女性をリードしてみせる。世界を探しても、胸だけで完全にリードできるペアダンスのスタイルは、恐らくミロンゲーロしかないだろう。

〈離れない2つの胸〉

 ミロンゲーロ・スタイルと同様に深く組んでいるように見えて、実は男女を上から見て「V」字型に組むスタイルを踊る日本人ダンサーが多い。親密に組んでいながら、空間的な自由度が高く、多様なステップが可能だ。これに対して、ミロンゲーロ・スタイルは、男女の胸が常に平行に位置し、かつ面的に密着している。一時的にV字型になることもあるが、完全に男女の胸同士が離れてしまうことはない。
 組む姿勢にも独自性がある。一人で立てないほどではないが、重心を前に置き、胸でお互いを押し合う状態を作る。そして、前に出る時も、下がる時も、ヒーロ(回転)の時も、踊っている間はその状態を常に保持する。「連続的な均衡状態の保持」こそが、ミロンゲーロ・スタイルの核心といえる。

〈美しさの代わりに手に入れた果実〉

 パリ在住で、現地でタンゴ講師のアシスタントを務める山本和香子さんは、ミロンゲーロ・スタイルの重心位置について、水平方向と同時に、「垂直方向が重要」と話す。重心の位置が高い踊り、たとえばバレエなどは非常に優雅に見える。一方、土着的な踊りは、重心が低く、大地から多大なエネルギーを受け取ることができる。美しさを求めるサロン・スタイルは重心が高い。それに対して、民衆の踊りとして大地に繋がるミロンゲーロ・スタイルは、必然的に重心が低くなる。前に進む時も、後ろの足を使い、力強く身体を押し出す動きが欠かせない。
 大地から受けたエネルギーは、男性の身体を貫き、密着した胸から女性に伝わり、女性のつま先から大地に帰っていく。男性のつま先、胸、女性のつま先を繋いだ線は、力学的にもっとも安定した形状である「三角形」を形作る。そこにタンゴ独特のリズムを取り込むことで、男女は他のスタイルでは味わうことができない強烈な一体感を得ることができる。これこそが、ミロンゲーロ・スタイルが美しさを放棄してまで手に入れた果実であり、快楽の源泉ではないだろうか。 (おわり)

【動画】ダリエンソの「インディフェレンシア」を踊るエバ&ウォルター。音の解釈が素晴らしく、一歩一歩を丁寧に踊る。

2009/12/10

快楽主義とタンゴ・スタイル(上)

 「ミロンゲーロ・スタイル」に関心を持つ人たちが増えていると聞く。カンジェンゲやヌエボ、ウルキサなどもあるが、日本のタンゴ・ダンス界におけるスタイルの主流は、これまでステージ(ファンタジア)かサロンの二者択一に近かった。そこに新機軸として、ミロンゲーロ・スタイルが輸入され、従来とは異なるスタイルとして注目を集めている。一方で、新たなトレンドとして消費されこそすれ、その本質に目を向けようとする議論は多くない。ミロンゲーロ・スタイルは一体どこが他のスタイルと異なるのか。少し長くなるが、個人的な見解を綴ってみたい。

〈目指す方向の違いから生まれる独自性〉

 これから「分ける」作業を始めることに矛盾するが、踊りのスタイルを厳密に分類・定義することは不可能だ。一人ひとりの踊りは違うし、ましてタンゴは男女が二人で踊る。その組み合わせの多様性こそが、ペアダンスの魅力とも言える。同じスタイルに位置づけられる有名ダンサー同士を比べても、それぞれに特徴があり、一つのスタイルに押し込めてしまうことに違和感を覚える。
 しかし、「分ける」作業なくして、「分かる」ことは難しい。ミロンゲーロ・スタイルには、姿勢や歩き方といった外見的な特徴だけでなく、そもそも目指すべき方向性に違いがあり、そこからこのスタイルの強烈な独自性が生まれているからだ。

〈美しさを捨てたミロンゲーロ・スタイル〉

 ステージ上で華々しく踊るステージ・スタイルに対して、サロン・スタイルは、主にミロンガで踊るスタイルであり、優雅で洗練されている。周囲に配慮し、大人しく踊りはするが、同時にその踊りは美しくなくてはならない。ステージ・スタイルとは美しさの基準こそ異なるが、美しく踊ることを重視する点では共通している。
 これに対して、ミロンゲーロ・スタイルは、端的に言えば、美しさを捨てたスタイルだ。たとえば、ミロンゲーロ・スタイルを代表するダンサーであるテテ(Tete)。彼の踊りに美しさを感じる要素は少ない。そもそもビール腹のメタボリック、典型的な中高年男性の体形自体が、美とは縁遠い。タンゴをやったことがない人にとっては、彼の踊りが世界的に評価される理由など理解できないに違いない。

【動画】ダリエンソの「アマラス」を踊るテテ。上半身の柔らかさと下半身の力強さが見事に一体化している。

〈美しさよりも快楽〉

 では、ミロンゲーロ・スタイルは、美しさを犠牲にする代わりに、何を手に入れたのだろうか。ミロンゲーロ・スタイルという言葉を生んだスザーナ・ミラー(Susana Miller)は、「ミロンゲーロ・スタイルに、美的な豊かさはない。その代わり、リズムの豊かさに溢れている」と記述している。
 サロン・スタイルは、ミロンガで踊られる時も、第三者の視線を常に意識し、美しくあろうとする。ところが、ミロンゲーロ・スタイルは、第三者を無視し、目の前にいる相手にただひたすら集中する。サロンが「三人称」的であるのに対して、ミロンゲーロは「二人称」の踊りといえる。美しさよりも、二人の気持ち良さ(快楽)に対する徹底ぶり。そこに、この踊りの独自性がある。 (つづく)

2009/12/05

Milongeros(Rさん)

ミロンガに集う人たちにスポットを当てる「Milongeros」。記念すべき初回は、当団体の代表でもある千代田区在住のRさん(♀)をご紹介します。

 2001年にアルゼンチンを1ヶ月ほど旅したRさん。「ヨーロッパ的な雰囲気と親切な人たち」に惹かれ、アルゼンチンという国に好意を抱くようになる。次の転機は、シンガポール在住時の05年。「友人からミロンガに誘われ、すっかりタンゴの音楽のファンに」。ここでショーダンスとは違うタンゴの存在も知る。そして日本に帰国、06年から本格的にタンゴを習い始めた。

 それから3年が過ぎたが、彼女の生活にタンゴは溶け込んでいる。タンゴを始めてから連続で踊らなかった日数は最長でも2週間。現在は、レッスンを週に1回、ミロンガを2-3回のペースで楽しむ。「最高の気分転換。特に上手い人と踊っている時は、日常生活を忘れられる」

 実は彼女、タンゴよりも先にサルサを始めた。今も二足のわらじを器用にこなし、ミロンガを楽しんだ後、サルサにハシゴすることもしばしば。「リズムに乗る」サルサに対して、「音楽の中に入っていくような感覚」がタンゴの魅力と語る。

 これまで行った首都圏以外のミロンガは、国内が大阪、名古屋、沖縄、海外はシンガポール、マレーシア、韓国。特にマレーシアの首都・クアラルンプールで開かれたタンゴフェスティバルが思い出に残っている。フェスティバルには、マレーシアのほか、タイやインドネシア、シンガポール、中国、香港などからもタンゴ好きが集う。「マレーシアのタンゴ人口は決して多くないが、その分、みんなで一緒に盛り上がろうとする」一体感に酔いしれた。仕事の都合がつけば「次回も参加したい」と考えている。

 気分によって行くミロンガを使い分けるRさんにとって、「集まる人や音楽など特色のあるミロンガがいい」という。たとえば、日曜の晩は「あまり人が多くなくて、ゆっくり寛げる」そんなミロンガを求める。

 現状の課題は「ミロンガで踊る時に、どんな人とも楽しみ、楽しませられる」ように上達すること。今は、ミロンガに行くと、楽しく踊れる人が2割、普通の人が7割というRさん。相手にとっても、自分にとっても楽しく踊れる人の割合をどこまで高められるか、がレッスンを受ける原動力だ。「どんなリードにも応えてあげたい」そんな思いを抱き、日々タンゴに取り組んでいる。

2009/12/01

Tokyo Milongaのコンセプト

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 海外のミロンガを訪ねると、安くて気軽に踊りを楽しめる場所が多いことを羨ましく思います。料金はどこも1000円程度ですし、誰もが楽しめる開かれた雰囲気が漂っています。日本にもそんな場所があったら、というのがミロンガを始める原点になりました。

 華麗なデモも、美味しい食事も、豪華な生演奏もありません。その代わり、都心の好立地に安価なミロンガをご用意しました。フルコースのディナーも捨てがたいですが、街の定食屋のようなミロンガも、あってもいいのではないでしょうか。

 しかし、「仏作って魂入れず」という諺がある通り、ミロンガで最も大切なのは、そこに集う人々です。主催者として他力本願に過ぎるかもしれませんが、参加者の愛情こそが、ミロンガを育みます。海外のミロンガのように、シンプルだけど、活気があって寛げる、そんな東京を代表する大人の社交場にしたいという生意気な思いを込めて「Tokyo Milonga」と命名しました。

 産まれたばかりのミロンガですが、末永く可愛がって戴ければ幸いです。どうぞ宜しくお願いします。


~Tokyo Milongaからの3つのお約束~

①踊る時間を大切にします

 限られた短い時間で踊りを最大限に楽しんで戴くため、デモやイベント告知の時間は設けません。告知などはフライヤをお持ち下さい。

②誰もが楽しめる空間に

 ミロンガに踊りを楽しみにきていることにおいて、プロもアマチュアも、上級者も初心者もありません。料金もプロアマを問わず、同一とさせて戴きます。濫発は歓迎しませんが、誰もが踊らない権利を有しており、プロといえども同じ料金を支払う参加者の一人、踊ってもらって当然ではありません。参加者がお互いに敬意を払い、楽しい空間づくりにご協力下さい。

③積極的に情報を発信

 ミロンガ参加者にとって一番の関心事は、どんな人が、どれくらい来ているかに尽きるのではないでしょうか。当ミロンガでは、開催後の詳細なレポートとともに、参加者の素顔に迫るインタビューなどのコンテンツを随時掲載していく予定です。ご期待下さい。

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